立春大吉

 禅宗のお寺では、三朝祈祷といって正月三が日の間、般若のお札と立春大吉、そして鎮防火燭と書いたお札にお経を上げ、檀信徒の方々にお配りするという習わしがあります。
般若のお札は家内安全・火盗消除の祈祷札、立春大吉は厄除けと招福、 鎮防火燭は防火のおまじないのお札です。

 なかでも立春大吉は、お正月ならではのお札。
鬼が立春大吉の札の貼ってある家に入ると、門を入ってふと振り返り、やはり同じように立春大吉と書いてあるので(裏から読んでも同じに読めますので)、オッまだここには入っていなかったなと、門から出て行ってしまうとか。
昔の人は粋なことを考えるものです。

 さて、現代、おまじないなんて、と思われる方もいるかも知れません。
でも、おまじないとはつまり祈りであり、祈りとは心の底からの願いの発露です。
そして、心の底からの願い−−祈りこそ人の心を支える最後の力となります。
念ずれば花開くという言葉があります。
これから新たな一年の歩みを始めるにあたり、小さくても、確かな祈りを心の中に持ちたいものです。

住職合掌

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