仏の世界

 一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)
この世の中に存在するもの全ては、すなわち仏性(仏)であり、
私達の生きている日常の世界はすなわち仏の世界である。
曹洞宗の開祖である道元禅師の示された大切な言葉です。

山も仏であり。
川も仏であり。
野に咲く花も仏様。
この世の中全て仏様でないものはない。
道元禅師はそう説いておられます。

山の声を聞き。
風の声を聞き。
空の声を聞き。
夕暮れに鳴く虫たちの声に耳を傾けてみましょう。
涼やかに頬をなでてゆく秋風の中にも仏様はおられます。
この世の中はそのままで仏様の世界。
私達は仏様に包まれて生きています。

そして、私達自身もその仏様の一人。
それぞれに皆仏様です。
大切な仏様です。

仏様とは何でしょう?
仏様とはやさしさです。
どこまでも大きく広く、全てを受け入れ自らに同化していく、海のようなやさしさです。
やさしさとは、裏も表もウソもホントも、悲しみも苦しみも、全てを理解してあげることです。
全てを理解し、全てを受け入れてくれる。
それが仏様です。

自然はそんなやさしさに満ちあふれています。
現代の私達は、普段人工のものばかりに囲まれていますが、時には自然の世界に目をむけ、自然の息吹を感じ、その深く大きいやさしさを感じたいものです。
そしてそのやさしさは、私達の身体の中にも宿っています。
誰の身体の中にもある限りないやさしさを再発見すること。
このやさしさの再発見こそまさに仏道なのだと思います。

住職合掌

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