即心是仏

 即心是仏(そくしんぜぶつ)とは、心が即ち是れ仏、つまり心がそのまま仏さまですよという意味です。
「ありがとう」というのは、感謝の気持ち。
感謝の気持ちは、仏様の心です。
「どういたしまして」というのは謙虚な気持ち。
謙虚な気持ちは仏様の心です。
「いただきます」と「ごちそうさまでした」は、食べ物を大切にする気持ち。
食べ物を大切にする気持ちは、仏様の心です。
人に対する感謝の気持ち、食べ物や自分を支えてくれている物を大切にする心、人に対して驕らず、謙虚であること。
これらは全て仏様の心です。
善き心を持ち、善き行いをなす。このとき人はどのような人であれ皆仏さまです。
しかし、人は残念ながら常にこのように行動できる訳ではありません。
困っている人を助けてあげるのは善き行いですが、つい私達は様々な理由で見て見ぬふりをしてしまうことがあります。
そんな周囲の事情や自分の都合に流されがちな私達ですが、それでも善き心とは何か、善き行いとは何かを生まれながらに誰に教わるわけでもなく分かっています。
自分の内なる善き心の声が大切です。
怠惰と無関心と傲慢さから離れ、内なる善き心に従って行動する。
このときその人の心は「即心是仏」、そのままで仏さまです。
一瞬の善き行いが、その人を一瞬の仏さまにしてくれます。
一瞬一瞬の積み重ねがその人の心を綺麗にし、さらに善き心を善き行いを導いてくれます。
焦ることもなく、頑張ることもありません。
悪いことをせず、善きことをなす。ただこれだけです。
これがつまり、即心是仏。
簡単なのです。
善きことを少しずつ積み重ねていく。
自分なりに少しずつ積み重ねていく。
その先に仏さまの綺麗な、気持ちのいい心の世界が広がっています。
住職記

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