和顔施

 今年六月の今月の言葉に、無財の七施というお金のかからない七つの施し(布施)について書きました。
和顔施は、この中の一つです。
笑顔の施しということ。

 私は寺の住職の傍ら保育園の園長も務めているのですが、小さな子どもと接していると時折とびきりの笑顔に出会うことがあります。
特に赤ちゃんクラスの小さな子は心がまっさらなせいか、小さな可愛い顔でニコーッとされると全身の緊張が緩んで、さらに心の緊張もすっと消えて行くような感じがして、とても幸せな気分になります。
 別の例では、スーパーで買い物をする時、レジで無表情で〜円ですと言われるのと、笑顔で〜円ですと言われるのとでは受ける印象がずいぶん違います。
日々人と接する接客業において笑顔がとても大事であることは、よく言われることであり、誰でも知っていることです。
 笑顔は、人の緊張を解き、心を和ませます。
そして、自分自身の緊張も緩み、心が和んできます。
笑顔になるような気分でなくても、少し無理をしてでも笑顔でいると、心の中も笑顔につられて和んでくるから不思議です。
仏さまと同じように坐禅を組んで静かに坐っていると仏様の心になり、
仏さまに向かって手を合わせていると、心が静かに落ち着いてくる。
体の形を目標と同じにしていると、そのうちに体の中つまり心も坐禅や合掌といった形につられて目標と同じになってきます。
笑顔も同じです。
笑顔は、自然に誰の心をも和やかにします。
笑顔は、周りの人をみな幸せにし、自分もまた幸せになる素晴らしい行いです。

 ブスーッとしていると心の中もブスーッとして来ます。
いつも笑顔を心掛けて、みんな一緒に和やかに過ごしてまいりましょう。
住職記

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