祈り
初詣、日本のお正月の風物です。
なんとなく毎年の習慣でお詣りに行くという方も多いと思いますが、華やかなお正月の雰囲気の中でも、神様や仏様の前にでると誰しも自然と厳粛な気分になるものです。
カミもホトケも人の力を超えた存在。
その大きな力に、自らの願いを託し祈る。
家族の無事を祈り、仕事がうまく行くように祈る。
とかく日本人は無宗教だ、とか宗教心が無いなどと言われますが、どうしてどうしてしっかりと宗教心を持った民族だと私は思います。
除夜の鐘からお正月の初詣、お彼岸やお盆の先祖供養は日本民族共通の宗教行事です。
ただ、それ以外の宗教に関わる行動があまりに欧米の一神教的宗教感覚と違いすぎるために日本人無宗教説が巷で言われるのでしょう。
日本には日本の宗教的価値観があります。
カミもホトケも包摂したおおらかな宗教心を私達日本人は豊かに持っています。
もっと自国の文化に自信を持つべきだと思います。
日本に限らず、どんな民族にも宗教があります。
そして、宗教は必ず、「祈る」という要素を持っています。
祈るということは大切なこと。
どれほど科学や技術が進んでも、人間の力には限界があります。
その限界に突き当たった時、人はより大きな存在である神や仏に心を寄せ、自らの思いを託す。
それが祈り。
祈りは、人間が自らの力の限界にいたった時、自然に心の中から出て来るものです。
心の底からの祈りは、人の心を素直に、そして謙虚にし、しなやかな強さをも与えてくれます。
お正月は一年の始まりです。
きれいな純粋な気持ちで一年の無事を祈り、特別な思いがあれば、その思いを大切にしてこの一年にまっすぐに向き合って歩みを始めてまいりましょう。
光陰は速やかに過ぎ去ってゆきます。
刻々と過ぎ去ってゆくこの時間、日々をどのように生きるのか?
与えられた人生の日々を真摯に生きてゆきたいものです。
住職合掌
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