観音様

 観音様は正式名称は観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)といいます。
世の中の音(様子)を観ずる菩薩という意味で、またの名を観自在菩薩(かんじざいぼさつ)ともいいます。こちらは自在を観ずる菩薩という意味。
曹洞宗では色々なお経をよみますが、一般の曹洞宗寺院で法事等で一番よくよまれているお経は般若心経と大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)ではないかと思います。
般若心経は観自在菩薩(観音様)の悟りの内容を説くお経。
知っている人の多い「色即是空」はこのお経の中の言葉です。
そして大悲心陀羅尼は観世音菩薩(観音様)の力を讃えその功徳を得ようとするお経。
般若心経も大悲心陀羅尼も、どちらもお経の主は観音様です。
色即是空空即是色と説かれるこの世の真実を見透す般若の知恵と、どこまでも人々を救おうとする慈悲の心とを兼ね備えているのが観音様。
この観音様の知恵と慈悲のお経を常に私達曹洞宗の僧侶は唱えている訳です。
知恵と心が揃って仏の教えと言うことなのだと思います。
この世の真実を理解するだけではそれはいわゆる哲学です。
この哲学にこの世で共に苦しんでいる人の心に寄り添おうとする心(慈悲心)が加わって仏の教えとして世の中の人々を現実に救うことが出来るということなのではと思います。
あるいは、この世の真実に心と体で全身(心)で触れると自然に慈悲心が備わってくるのかも知れません。
観音様は曹洞宗に限らず多くの宗派で大切にされています。
観音様には色々な姿があります。
千手観音、十一面観音、馬頭観音、如意輪観音、慈母観音など
多くの場面で様々な人々を救うためにたくさんの姿があります。
常仙寺のある高崎市には中心街の南の丘の上に大きな白衣観音像があり市街地を見下ろしており「高崎白衣観音」として有名です。
常仙寺の山門から白衣観音を望むとちょうど正面に見ることが出来ます。
観音様に手を合わせていると、なんとなくその優しい慈悲の心が拝んでいるこちら側にも伝わってくるように感じます。
苦しんでいる人を救ってあげようという気持ちは多分人類が元々持っているものなのでしょう。
その元々持っている他者への優しい心が観音様に手を合わせることで私達の心の表面に現れてくる。
そうして慈悲の心が世の中に伝えられ広まって行きます。
観音様は色々なところで目にすると思います。
今度どこかで出会ったら、世の中の真実を見透す知恵と慈悲の心に是非しばらく手を合わせて頂きたいと思います。
住職記

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