大遠忌

 当山のお宗派である曹洞宗には宗祖が二人、本山が二つあります。
宗祖の一人目は曹洞宗の開祖であり、大本山永平寺(えいへいじ)を開かれた道元(どうげん)禅師。
二人目は道元禅師から数えて四代目の大本山總持寺(そうじじ)を開かれた瑩山(けいざん)禅師。
普通は宗祖と呼ばれる方は一人であることが多いと思いますが、曹洞宗の場合はこのお二方を両祖という言葉で表して、二人揃って宗祖であるとしています。
曹洞宗を開かれた道元禅師は峻厳な求道者であり、四代目の瑩山禅師は広く世の中への教化布教に力を注がれた方でした。
この経緯から道元禅師を父、瑩山禅師を母に例えたり、また車の両輪に例えたりします。
いずれにしても、両祖のどちらが欠けても現在の曹洞宗はなかったと思われます。
歴史的な事情から二人の祖師と二つの本山を曹洞宗は持っているわけですが、一輪より二輪の方が安定するということもあるのか教団が分裂することなく安定して発展し、現在は全国に一万五千ヶ寺を擁する大教団となっています。
さて、今年はこの両祖の一人である瑩山禅師の七百回忌の年。
曹洞宗では七百回大遠忌(だいおんき)として大本山総持寺で報恩の大法要を営んでいます。
七百年というのはあまりに長い歳月ですが、どれほど年月が経ってもこの宗派を作られた祖師であるという事実は変わりません。
何百年経っても千年経っても変わらずに報恩の行事は続けていかなければならないと思います。
つまり、感謝の気持ちを忘れずにということ。
結局、大事なことは簡単なことです。
一人の人間にとって感謝の気持ちを忘れずにいるということが大切なように、組織にとっても感謝を表す行いや行事は大切ということ。
「ありがとう」という気持ちを忘れずにいる限り人は健康に、組織は健全に存続して行くことが出来るのではと思います。
どうぞ、「ありがとう」を大切にして参りましょう。
住職記

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