命を大切に

 五月末、私が園長を務めている保育園でサツマイモの苗植えがあり、子ども達と一緒にサツマイモの苗を百本ほど植えました。
ちょうど台風が近づいて来ていて次の日から次第に雨となってかなり降りましたので、良いタイミングで植えることが出来たと思います。
このサツマイモ植えは毎年の恒例行事。
植えた後、夏の強烈な太陽の下でしなびることも無くどんどん成長して、秋には大きなお芋を土の中に作り出す自然の力は本当にすごいなと感心します。
畑で苗を植えていると、子ども達は色々な虫や生き物を発見します。
芋虫やミミズやムカデやトカゲやたまに蛇など、畑や草むらではこの季節本当に色々な小さな生き物に触れることが出来ます。
子ども達はこういう小さな生き物が大好きで発見する度に興味津々、突っついたりジィーッと見たりつまんでみたり、自分も小さい頃はこんな感じだったのかなとふと思います。
この梅雨の季節は、生き物の季節でもあります。
小さな生き物の命は短く、より大きな生き物に食べられて消えて行く命もたくさんあります。
生き物が生まれてくるということは、それだけ死んで行くものもあるということ。
私達人間もそんなたくさんの生き物のうちの一つに過ぎません。
生まれてきたわけですからいつか死んで行きます。
昨日の続きで今日があり、今日の続きで明日があると無意識に思いながら日々を過ごしている私達ですが、空からスゥーと舞い降りてきた鳥に不意に食べられてしまう芋虫のように、いつ私達にも死がやって来るか分かりません。
いつやって来るか分かりませんが、いつか必ずやって来るのが、死。
最近良く知っている人の突然の死に遇い、人はいつ死ぬのか分からないということを強く感じています。

雨がたくさん降った次の日、気持ちの良い朝の光の中で聞く鳥たちの賑やかなさえずりには、清々しい命の力を感じます。
さえずっている鳥たちのお腹の中には畑で食べられた虫達が入っているのかも知れません。
生と死は交錯し、命は形を変えて続いて行きます。
一つ一つの命を見てみれば、生きているのは結局のところ束の間。
人間の命も同じです。
束の間であればこそ、今のこの命を大切に生きていきたいものです。
住職記

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