死は避け得ないものです。
万人に平等に死はやって来ます。
今日あるように明日があり、明日の次にはあさってがやってくる。
どこまでもその繰り返しが続いていくように漠然と私達は感じています。
しかし、それは違います。
人生には必ず終わりがやってきます。
そんなことは分かっている。
当たり前だ。
そうでしょうか?
心の中で私達は、本当に切実に死を捉えているでしょうか?

20世紀インドの生んだ偉大な詩人タゴールのこの詩は、そんないつか訪れるであろう死があってこその今の生を、しっかりと、そして前向きに捉えさせてくれます。
この詩の中では、死は忌むべきものではありません。
死は生を裏打ちするもの。
死は生を生たらしめるもの。
春に芽吹き、初夏に咲き誇る草花の美しさ、命の躍動は、秋の衰えと、冬の間の地への潜伏…つまり死あってこそのものです。
生だけの生、死だけの死、そんなものはありません。
生と死は互いに互いを支えています。
移りゆく生と死のダイナミックな動きの中に、命の輝きを見る。
そんな感性が、この詩には感じられると思います。

死があってこその生。
この命あるものとして当然の真実を、しっかりとまっすぐに受け止めたいものです。
住職合掌

”今月の言葉”に戻る