初心不可忘(初心忘るべからず)

 人は忘れやすい生き物です。
多くのことを憶えることが出来るがゆえ、また、忘れることも多い。
生きるのに当面必要でないことを自分の意志で覚えていられるのは動物の中で人間だけです。
その記憶力(と思考力)のお陰で、私達は文明社会を築いて生活しています。
記憶と思考、そしてそこから生まれる意志は、人間を人間たらしめているものと言えるかもしれません。
人間は、自らの思考力と記憶、そして意志で、外界に働きかけ自らの目的に合うように変化させてきました。
自らの意志で周りを変え、自分を変え、進化してゆく。
人間の特質です。

しかし、そんな素晴らしい力も裏目に出てしまうと、気持ちが萎えてしまったり、大切なことをいつの間にか忘れてしまったりということにもなります。
人間の力は大きなものです。
であるがゆえ、成功もし、失敗もします。
 失敗をしてもあきらめない。
 そして、そこから学ぶ。
 成功をしたら、おごらない。
 そして、さらに前に進むにはどうすればいいか考える。
失敗続きでも、あきらめずに工夫し挑戦し続ければいつかきっと成功が訪れます。

 仕事の上での目標。
 家庭での目標。
 勉強での目標。
 スポーツでの目標。
 あるいは、ダイエットの目標。
 節酒、節煙、禁酒、禁煙も目標です。

いずれも、スムーズに目標達成ということは少ないと思います。
まず大概は挫折を味わいます。
でもそこで挫けない。
一からでもやり直す。
一からでダメなら、ゼロからやり直す。
あきらめないこと。
同じやり方でダメなら、違う方法を考えてみる。
目標が大きすぎるなら、第一目標、第二目標とレベル設定を考える。
どうにかして、何とかして前へ進む。

目的を持ち、自らの意志で努力し続けることが出来るということは、人間の持っている素晴らしい特性だと思います。
初心不可忘−初心忘るべからず−。
新年の思いを大切にして、この一年の日々を歩んで参りましょう。

住職記

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