祈り−真摯な心

 真摯(しんし)とは、あるがままの自分でまっすぐに正直に人や物事に対する心の姿を言います。。
これは、仏教や禅云々ということ以前にどのような社会、どのような時代に於いても人として大切なことです。
お正月は、私達にこの真摯な心を取り戻させてくれる貴重な時間ではないかと私は思います。

社会がめまぐるしく変化していく現代の世の中、うかうかしていると自分が何をしようとしているのかさえいつの間にか忘れてしまいそうです。
でも、そんな日常にあってお正月だけはそのめまぐるしく動く社会が少し休憩タイムに入る一時。
日本全体の時間がゆっくり流れる…そんな感覚があります。
お正月というのは、巧まずして日本の文化が育てた、人々が心の姿勢を正す時間。
私達日本人は、お正月を迎えるにあたり、大掃除をし、鏡餅を供え、お節料理を作ったりして様々な準備を致します。
つまり、家を浄め、身を清め、姿勢を正して新しい年を迎えるわけです。
一年の中に文化として姿勢を正し気持ちをリセットする時間が組み込まれているというのは素晴らしいことだと思います。

だらだらと寝正月、というのもお正月かもしれませんが、それでも非日常の時間がそこに過ぎてゆくという現実は変わりません。
このお正月という非日常の時間、寝て過ごしても、駅伝を見ながら飲んだくれて過ごしても、神社やお寺に初詣に行って清らかに過ごしても、やはり心と体のリセットタイムです。
しっかりリセットして頂き、あらためて心と体の姿勢を正し、真摯な気持ちでこれから始まる一年に対していって頂きたいと思います。
住職記

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