ありがとう

 「ありがとう」…一番簡単な感謝の言葉です。
でも、この簡単な言葉には本当に不思議な力があるように感じます。
「ありがとう」と言うだけで、言った方も言われた方もともになにか心がホッとするような、ほんの少し幸せになれるような、そんな感覚があるように思います。
日本には古来、言霊(ことだま)という考え方があります。
言葉に魂が宿っていて、現実に影響を及ぼす。そんな考え方です。
「ありがとう」という言葉について考えると、少なくともその言葉を口にするということによって、本人が想定していない影響が現実にもたらされるように思います。
すなわち、言った本人と、言われた側と、両方ともに心が僅かであっても和みます。
少しぎくしゃくしているような人間関係だったとしても、「ありがとう」とお互い言っているうちにわだかまりが消えて行ったりします。
これは、まさに言葉の力と言えるのではないでしょうか。

「ありがとう」とは感謝の言葉です。
人は他人から感謝されると単純に気持ちが良いものです。
たった一言で、誰でもいつでも使える単純な言葉で、人を気持ちよくさせてあげることが出来る。
それが「ありがとう」。
人は気持ちよくさせてくれた相手に好感を持ち、いつかその相手に「ありがとう」をお返しする。
お互いに「ありがとう」を言い合って、お互いに気持ちよい。
これは最近よく耳にするウインウインの関係です。
「ありがとう」というたった一言によって人と人とがウインウインで幸せになれる。
素晴らしいことです。
少しでも「ありがとう」を言っておかしくない場面では、努めて言うようにいたしましょう。
「ありがとう」は人を気持ちよくさせ、気持ちよくなった人はまた「ありがとう」を言い、幸せの輪が広がってゆきます。
いつも「ありがとう」を忘れずに。
住職記

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