つながり

 自分で書いたこの「今月の言葉」を読み返してみると、ここ数ヶ月はコロナウイルスのことが毎月出て参ります。意識してそうしている訳ではないのですが、それだけ世の中にとっても自分にとっても大きな問題なのだなと改めて思います。
さて今回もコロナウイルスに関わるお話しです。
今年の初めから現在に到るまで新型コロナウイルスの流行で世界中が大変な状態になっています。
既にたくさんの人が亡くなられ、重症化しても根治させる薬がない大変怖い状況の中で、感染を避けるため人と接する場ではマスク着用が常識となり、三密を避けよと国がスローガンを掲げて世の中全てが人と人との接触について非常に神経質になっています。
職場はテレワーク、学校は休校やリモート授業、夜の街では接待離れ。
人と人が直接触れ合いづらいこの日常は、人間にとって非常にストレスの多い状況です。
そもそも人間という字は人の間と書きます。人と人との触れ合いとつながりの中で人は人として生きていけるのだと思います。
この、人にとってとても大切な、人とのつながりをかなりの程度奪ってしまったのが今回のコロナウイルスです。
職場や学校でのネットを介してのやりとりは、顔を見て話が出来るとは言え結局の所電話の延長線上であり、かゆいところに手が届くと言うわけにはいかず、いわゆる隔靴掻痒という感は否めません。
また、学校が長期の休校になってしまった子ども達の中には、あまりに友達や人との直接の触れ合いのない生活が続いて心が不安定になってしまう子が出ているそうです。
この人との接触をなるべく避ける生活は、私達にとって精神的な負担になるのと同時にいかに人にとって人とのつながりが大事かと言うことを思い知らせてくれているように感じます。
巨大なダメージを現代社会に与えているコロナウイルスですが、人と人とのつながりの大切さを強く認識させてくれるという意味で、ある意味プラスに考えられる面もあるように思います。
人は人とつながっていてこそ人。
コロナは今現在の人とのつながり…横のつながり…を感じさせますが、人とのつながりはそれだけではありません。
父や母、おじいちゃんおばあちゃん、子供、孫、ひ孫などの言わば縦のつながりもあります。
空間的な横のつながりと時間的な縦のつながりが私達の周りにはあるということ。
このつながりがあって私達は生きています。
八月は日本の多くの地域でお盆の季節です。
お盆はこの縦のつながりを改めて見つめ直し、そのつながりの中に生きている自分を感じる時。
今年は豪雨被害でお墓参りどころではない地域の方もいらっしゃると思いますが、ほんの一時でも是非時間を工面して頂き、先祖に、亡くなられた方々に、つながりのある人々に心を向けてお手を合わせて頂けたらと思います。
住職記

今月の言葉に戻る