放下著

 こだわりを捨てよ。
これは仏教の基本です。
しかし、言うは易し行うは難し。
そんな簡単に、心の中の様々なこだわりを捨てられるものではありません。
また、捨てるべきでないこだわりもあります。
しかし度の過ぎたこだわりは、往々にして人を不幸にしてゆくことは事実。
心の中で負担になっているなと自分で感じている”こだわり”があるとすれば、早めに”放下著”(読みは−ほうげじゃく)捨ててしまった方がいいかもしれません。
言ってみれば、心のダイエットということでしょうか。
身体と同じように心も、余計な物はあまり付いていない方が気持ちが良いですし、動きも軽快です。
病気にもなりにくいでしょう。
しかし、やはりダイエットですからそれなりの覚悟が必要。
なんとなく続いていってしまう日常の連鎖を、ブツッと自分で切断する。
そんな思い切りが大事です。

今、メタボリックシンドロームという言葉が流行っています。
うつ病の人も増えていると聞きます。
これは体と心に余計な物を抱え込みすぎている人が多いからではないでしょうか?
人生はいつか終わってしまいます。
悩んでいるうちにゲームオーバーになってしまうかも知れません。
小さなことにこだわっている時間はありません。
「放下著」
先人の呼びかけをしっかり受け止めたいものです。
住職合掌

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