仏さまってなに?
仏さまってなに?
あらためて聞かれると、なかなか簡単に答えるのが難しい質問です。
表面的には、お釈迦様のこと、仏像でおなじみの阿弥陀様や薬師様、そして亡くなった人のこと、色々な意味があります。
でも、それら「仏さま」という言葉が意味する内容に共通するものはなにか?
私はそれは、”他者への優しさ”を持っている、ということなのではと思います。
よく、「神さま仏さま」と神と仏はひとくくりにされることがあるように、日本の神と仏は似ているような気がします。
神社の中に仏さまが祀られていたりします。
神と仏はどこが違うのでしょう?
神とは、まず第一義的に、人間より上位の存在ということ。
語源的に、”上”であるがゆえ、”カミ”となったとも言います。
特別な人間を超えた力を持っていますが、アマテラスの岩戸の物語に代表されるように神話に出てくる神々は非常に人間くさく、その性格はあまり人間と変わりません。
では、仏はそんな日本の神々とどう違うのか?
仏は人間より上位の存在という点では、神と同じです。
特別な力もあります。
違うのは、他者への限りない優しさを持っている、という点ではないでしょうか。
安らぎの心を持ち、他者にもまたその安らぎの心で接する。
わけへだて無く優しく人々を救おうとする、深く暖かい心を持っているということ。
この”優しさ”こそ、神と仏を分かつ最大の違いではないかと思います。
この”仏”に、人間として最初に到達したのが、お釈迦様です。
そこにいたる道は大変なものでした。
自己を律する強靱な心と、長く厳しい修行の末に”仏”に到達されたのです。
自己に厳しく、他人に優しく。
これは仏道の基本です。
とかく他人への配慮が欠けがちな昨今の世の中。
欲望に流されがちな自己を、厳しく見つめる眼と、他人への優しい配慮を心がけたいものです。
互いのことを思いあえる世の中こそ、真に心豊かな住みやすい世の中なのではないでしょうか。
住職合掌
”今月の言葉”に戻る