幸福は分けても減らない
お釈迦様が説かれたろうそくの炎の話。
一本のろうそくは、その炎を何千本のろうそくに分けても元の炎が減ることはなく、炎は分けられたろうそくの分だけどこまでも増えてゆく。幸せも同じように一人の人がその幸せを他の人に分け与えれば分け与えただけ幸せも増えてゆく。元の幸せが減ることはない。
これは、「ハーバードの人生を変える授業」という本の中で紹介されているお話しです。
簡潔ですが、幸せの本質をついたお話しだと思います。
幸せは物ではありません。
物(やお金など)は分ければ当然減ってゆきますが、幸せは心の状態です。
状態が減ると言うことはありません。
一人の人の幸せは、他の人の心の状態を同じように幸せな心の状態に変化させることが出来、またそれは多くの人数に対して可能であり、かつ自らの幸せが損なわれることがない。
現実の人の心は様々に変化しますのでそれほど単純ではないと思いますが、このように実践できればこれほど素晴らしいことはありません。
それでは、どのようにしたら人に幸せを分けてあげることが出来るのでしょう。
ただそばにいるだけで人を幸せに出来るというのはかなり特別な人だけのように思えます。
ごく普通の私達に出来るのはどのようなことなのか…
困っている人を助けてあげるというのがまず考えられます。
バスや電車の中でお年寄りに席を譲ってあげたり、乳母車を乗せるのを手伝ってあげたりといったこと。
ボランティア活動というのもあるでしょう。
もっと簡単なこともあります。
人に優しい言葉をかけてあげるということ。
簡単なことですが言葉は大きな力を持っています。寂しいときや落ち込んでいるときに優しい言葉をかけてもらうとそれが正に救いの言葉になるときもあります。
もう一つ、笑顔で人に接するということ。
接客に於いて笑顔は基本だと思いますが、笑顔は相手の心を和やかにする不思議な力を持っています。男女の差や年齢や職業や人種に関係ありません。
以上はみなお金のかからないことばかりです。
勿論お金や物を分けてあげることも当然幸せを分けてあげることに繋がりますが、行動が伴わない分、気持ちがきちんと相手と繋がっていないと幸せを分けることにはならないような気がします。
人に何かをしてあげようと思う時点で私達は既に幸せです。
幸せを身近な人に広げ、そしてそれが更に広がって皆が幸せになれるよう、出来ることをやっていけたらなと思います。
住職記
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