ありがとう

 感謝の心を大切に、ということは仏教に限らず世の中の色々な所で言われています。
「ありがとう」を大切にと言うことも同様です。
科学的には「ありがとう」と言ったり感謝の気持ちがあると脳内で幸せホルモンと言われる物質が分泌されて、その人を文字通り幸せな気分にしてくれるのだそうです。
これは、先月の「病は気から」のお話しの続きのようですが、人の言葉や行為がその人自身の身体の内的な状態を変化させることの典型的な例だと言えます。
そしてその当人の幸せな気分は周囲の人へも自然に伝わってゆき、その人だけでなく周りの人達も幸せになる。
感謝の気持ちと「ありがとう」という言葉は、私達人間を幸せにする強力な力を持った言葉と言えます。
ところで、仏教では挨拶やお祈りなど様々な場面で手を合わせる=合掌を致します。
この合掌という形と行為は多分に感謝の表明という要素が強いように思います。
仏様や神様は自分よりも大きな存在です。その大きな存在に祈る時、そこには同時に無意識に感謝の心が添えられているように感じます。
手を合わせてお祈りをすると、気持ちがすーっと落ち着いて心が綺麗になるように感じるのはもしかするとそこに感謝の心があるからなのかも知れません。
食事の際に「いただきます」と「ごちそうさま」と言う時も手を合わせますが、これも感謝の言葉です。
食事の度にきちんと手を合わせて「いただきます」と「ごちそうさま」を言っている方は1日に2×3=6回感謝の言葉を口にしていることになります。
「いただきます」と「ごちそうさま」は、幸せな人生を送るための簡単だけれど侮れない秘訣のように思います。
人間は結局一人だけでは生きていけません。
自然の恵みや多くの人のおかげで生きています。
自分を支えてくれている人や物に感謝するのはある意味当たり前であり、自然なことです。
感謝するべきものに当たり前に感謝して生活していると、自然に幸せになれる。
感謝を大切にせよという仏教の教えを今は冒頭の「ありがとう」のお話しのように科学が証明してくれています。
どうぞ「ありがとう」という言葉と感謝の気持ちを大切にして、多くの人に幸せになって頂けたらと思います。
住職合掌

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